「習っていないからできない」をやめる
あなたは、「習っていないからできない」と思うことがないだろうか?
私が高校生のとき、数学の教師がまだ習っていない部分についてある生徒に質問をした。
その生徒は、不満げに「習っていないからわかりません」と答えたが、そのときその数学の教師は、「習っていないからできない」ではダメだ、という意味のことを言った。
なぜかそのシーンのことをはっきり覚えている。生徒の立場で考えると、「習っていないからできない」と言うことは、ごく当たり前のように感じるが…実は、それではダメなのだ。
今回は、子供の「習っていないからできない」について書いてみたい。
目次
習っていないと文句を言う
習っていないからできない・わからない、という人がいる。
このタイプの人は、習っていない問題を突きつけられると、イラッとして「習っていないからできない」、「今の段階で、できるはずがない」と言ってしまう(言葉にしなくてもそう考える)。
これは、大人でも子供でも同じだ。
「習っていないからできない」という返事をする人々が増える傾向にあるようです。
出典:サル仕事には意味がある――「習っていないからできない」問題を解くヒント
ビジネスの現場でも、そういうタイプの人が増えているようだ。
教えてもらって当然という意識がある
習っていないと文句を言う人には、教えてもらって当然、という意識がある。自分から学びに行くというよりも、教えてもらうのを待つという姿勢だ(学びに対し、消極的な姿勢だ)。
そして、「教えてもらわなければできない」という決めつけを持っている。
少し考えてほしいが、学びに対し消極的で、頑固な決めつけを持っているとしたら…子供であればなかなか成績が伸びないだろうし、大人であれば「仕事ができない人」になるだろう。
答えを知りたがる
「習っていないからできない」思考の人は、すぐに答えを知りたがる。
手っ取り早く答えを求めて、イライラやモヤモヤを解消しよう、満足しよう、ということだ。
このタイプの人は、答えを聞くと満足し、わかったような気分になる。たしかに、全く同じ問題であれば、答えを知っているので解けるだろう。
応用がきかない
だが、応用がきかないため、少し問題が変わると解けなくなる。
自分の頭で考える、というプロセスをすっ飛ばしているため、問題に対する理解が不十分なのだ。問題の本質を理解することなく、問題を解くためのプロセスだけを理解(丸暗記)しているのだ。だから、応用がきかないのだ。
このタイプの人はできないと、また答えを求める。
そのうち、(できない問題に対し)答えを求めることさえ面倒になって、応用問題にチャレンジしなくなる。その結果、基本問題しか解けないので、成績も上がらなくなってしまうのだ。
未知の問題に対する姿勢が問題
つまるところ、未知の問題に対する姿勢が問題なのだ。
未知の問題というのは、既知の知識の組み合わせで解けることがある。
完全に解けなくても、いい線まで迫ることはできるのだ。そして、その自分で思考を巡らすプロセス自体に、おもしろみがあり、意味がある。
「習っていないからできない」思考の人の場合は、
1)学びに対する受け身の姿勢
2)習っていないからできない、という柔軟性に欠ける姿勢
この二つが問題なのだ。
大人になってから困ることに…
これらの姿勢が染みついてしまうと、大人になってから困ることになる。
会社は学校ではないので、「教えてもらったことをやればいい」と考えていると、足元をすくわれることになるのだ。
大きな会社であれば、あらかじめ研修などを受けて業務に臨むことにはなるが、業務上、「習っていないこと」を求められることは、いくらでもあるのだ。ベンチャーや中小になると、「習っていないこと」を求められることは、当たり前になる。
そんなときに、「習っていないからできない」は通用しないのだ。
できる子供の反応
できる子供は、そんなときどのように反応するのだろうか?
簡単に言えば、「習っていないからできない」と言葉にしたり、考えたりする子供の逆だ。
そもそもできる子供は、「習っていないからできない」という、固定的な思考を持っておらず、学びに対して柔軟で積極的な姿勢をとる。
ぶつかったのが未知の問題であれば、早々にあきらめるのではなく、既存の知識の組み合わせで解けないだろうか?と柔軟に考えることができるのだ。※習っていなくても、既存の知識の組み合わせで解けることがある、ということを知っている。
なので、すぐにあきらめて答えを知りたがる、ということもない。
社会にでたとき役に立つ
このできる子供の姿勢というのは、社会にでたとき役に立つ。
マニュアルでガチガチに縛られたタスクを別にすれば、ビジネスでは、正解がわからないことが多いし、習っていないことでもやらざるを得ない、ということが普通にあるからだ。
そこで、「習っていないからできない」思考をしていると、まわりから「仕事ができない人」というレッテルを貼られることになる。
ビジネスにおいても、学びに対して柔軟で積極的な姿勢を持ち、既存の知識の組み合わせでなんとかならないか、現在あるもの・足りないものは何か、足りないものを補うためには、何をどのようにして学べばいいのか、と粘り強く考える必要があるのだ。
もし子供が、「習っていないからできない」と口にするのであれば、なぜその思考が好ましくないのか、親がかみ砕いて説明すればいいだろう。
最初はわからないかもしれないが、粘り強く何度も説明すれば、そのうち子供も理解するようになると思う。※親のコミュニケーション能力が問われることになる。
まとめ
今回は、「習っていないからできない」について書いてみた。
習っていないからできない、という考え方はまずい。端的にいえば、そう考えると、そこで思考が停止し、今あるもので「なんとかしてみよう」という気持ちがなくなるためだ。
なので、もし子供が「習っていないからできない・わからない」と言うのであれば、それを了とするのではなく、なぜその考え方がまずいのか、丁寧に説明した方がいいだろう。
※あなた自身がそう思っているのであれば、考えを改めた方がいい。
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