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子供の自尊心を高めると学力も高くなるのか

子供の自尊心と学力の間には、関係があるのだろうか。

学力が高く成績の良い子供をみると、しっかりした考え方を持っており、自尊心も高いようにみえる。一方、学力の低い子供をみると、まわりのことを気にしすぎるな、自尊心が低いのかな…と感じることがある。

今回は、子供の自尊心を高めると学力も高くなるのか、について書いてみたい。

目次

自尊心は大事なもの

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自尊心とは、自分の人格を大切にする気持ちのことだ。

自分に対する肯定的な態度…としてもいいだろう。この自尊心というのは、生きていく上でとても大事なものであり、自尊心が低いと様々な悪影響が生じることになる

たとえば、自分のプラス面を正当に評価できない…ということになると、萎縮や自信の欠如につながる。萎縮したり、自分の言動に自信を持てなくなってしまうと、チャレンジできなくなってしまう。行動すべきときでも、動けなくなってしまうのだ。

他人を評価できない

また、自分のプラス面を正当に評価できないことは、他人のプラス面も正当に評価できない…ということにつながる。

その結果、他人のマイナス面ばかりみて批判的な態度をとるようになったり、嫌いな人の足を引っ張ることに熱心になったり…ということになりかねない。自分の自尊心を上げるために、まわりを貶める(補償行為だろう)ということはよくあることだ。

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自分軸がない

さらに、自尊心の低い人は自分軸がないので、他人の軸に依存して生きることになる。なので、承認欲求が強くなり、「かまってちゃん」のようになったり、自分に対する他者からの批判などに過剰に敏感になったりする。些細なことでも気に病んだり、感情的になったり…ということになる。

自尊心と学力には相関がある

自尊心と学力の関係を考えてみよう。自尊心と学力には相関がある。

どの教科の正答率も,子どもの自尊心の多寡と正の相関です。また,小6から中3にかけて,相関係数の値が軒並みアップしています。自尊心の高低が教科の学力によって規定される度合いは,上級学年ほど強いことがうかがわれます。
出典:学力と自尊心の相関

ある調査では、自尊感情と学力の間には相関がある…という結論が出ている。「小6から中3にかけて、相関の強さが上がる」という結果になったようだが、「勉強できる・できない」が、自己評価に与える影響度を増すため…と説明できそうだ。学年が上がるにつれて、勉強での優劣が大きな意味を帯びてくる…ということは、普通の子供にとっては仕方のないことかもしれない。

自尊心を高めると学力も高くなるのか

では、自尊心を高めると学力も高くなるのだろうか。

この話になると、「「学力」の経済学」という本に書かれている内容がよく引き合いに出される。

その本の中で紹介されている研究の結論は、学力が高いこと(原因)が自尊心を高くする(結果)、ということだ。たしかに、学力が高くなる⇒自分はイケているな⇒自尊心が高くなる、はあるだろう。逆に、自尊心が高くなる⇒?⇒学力が高くなる、は一見想像しにくい。

自尊心を高めたが…

同書に書かれている実験がある。

大学生を対象にした実験だが、

まず(成績の悪かった)大学生をランダムに2つのグループ(処置群と対照群)に分ける。

処置群には、自尊心を高めるようなメッセージを送り、対照群には事務的な連絡や個人の管理能力や責任感の重要性を説くメッセージを送る(自尊心を高めるメッセージではない)。

で、どちらの成績が有意に上がったのか?という実験だ。

結果は、(予想に反し)自尊心を高めるようなメッセージを受け取ったグループ(処置群)の方が有意に成績が悪かった。そこから、成績の悪い学生に自尊心を高めるような介入を行うと、良い結果にはならない…という結論を得ることができる。

自尊心がマイナスに働く例がある

このように、自尊心がマイナスに働く例もある。

当該実験の例では、自尊心を高めたばかりに、「成績が悪い」という現状に向き合わず、問題から逃げた…という可能性がある。「いつでも自分はやればできる」、「今はアレでも本気を出せばできる」と思い、本当に困った時にそうすればいい…と考え、問題から逃げたのかもしれない(笑)。

また、自尊心の肥大が不要なプライドを育てる…ということもあるだろう。

素直に「わからない」ということができず、知らないことや間違うことを極端に恐れるようになったり、意固地になり他人の有益なアドバイスにも耳を貸さなかったり…ということがあるのだ。

自尊心を高めた方がいい

だが基本的には、自尊心を高めた方がいいと思う。

自尊心が低いことのデメリットが大きいためだ。最初に述べたように、自尊心が低いと、1) 萎縮や自信の欠如につながる、2)消極的になり行動できなくなる、3)自尊心を回復するために好ましくない補償行為をする、4)他人の軸に依存して生きることになる、ためだ。

自尊心を高めることが、直接的に学力を高めることにならないとしても、間接的な影響はあると思う。

たとえば、学校での人間関係が良くなったり、ほかの人の言動に心を惑わされなくなれば、学習に集中できるのではないだろうか。また、自尊心が高くなれば、「わからないところを臆せず素直に質問する」という行動も取れるようになる。このことは、学力と直接関係があるだろう。

注意すべき点

注意すべき点は、自尊心を高めることはいいが、マイナスに働かないようにする、ということだ。

たとえば、子供の能力をほめて、子供の目的がテストで高い点数をとることになってしまうと、学力を高めることとはズレてしまうかもしれない。また、不要なプライドを身につけて、謙虚さや素直さ、柔軟性を失うかもしれない。これも学力を高めることとは、相反することになるだろう。

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まとめ

今回は、子供の自尊心を高めると学力も高くなるのか、について書いてみた。

現在は、子供の自尊心を高めても学力は高くならない(自尊心⇒学力の因果関係はない)という見方が主流のようだ。

たしかに、 学力が高くなる⇒自分はイケているな⇒自尊心が高くなる、の方が自然だし、納得しやすい。だが、先に述べたように、自尊心を高めることは、学力に対し間接的に好影響を及ぼすと考える。なので、個人的には子供の自尊心を高めるように動いた方がいいと思う。

今回の記事:「子供の自尊心を高めると学力も高くなるのか」

参考文献:「学力」の経済学 中室牧子(著)