テストで100点を目指すのか|それとも目指さないのか
子供がテストで100点をとった。
親であるあなたはうれしく感じ、子供をほめる。子供もどこか誇らしげだ。
小学校のテストで100点を目指すことはいいことだろう。基本的な内容を問われるテストで満点を目指すというのは、普通のことだと思う。そこで、親子とも「90点でいいよ」とするのは、間違いかもしれない。
だが、テストの難易度が上がると状況が変わる。満点を目指す弊害(落とし穴的なもの)が出てくるためだ。あえて言えば、100点を目指さない方がいいケースもあるのだ。
今回は、テストで100点をとることについて書いてみたい。
目次
- 目次
- 100点を目指すべき
- 知らない漢字で躓くことも
- 基本的な内容のテストは…
- 小学校の場合は100点を
- 難易度が高いテストでは…
- 完璧主義におちいることが
- 能力証明タイプになるかも
- 柔軟性がなく折れやすい
- 100点を目指す - サマリー
100点を目指すべき
テストでは、「100点を狙うべき」という意見がある。
4人の子供をすべて東大理Ⅲに合格させた佐藤亮子さんは、テストでは、9割(90点)では不十分であり、(どんな小さなテストでも)100点を目指すべき、としている。
その理由は、すこしでも「もれ」があると、入試では微差に泣くことがある、その小さな「もれ」が原因で、9割のはずが4割ぐらいの理解になることもある、というものだ。
知らない漢字で躓くことも
9割から4割の理解になる、という意味だが、たとえば、漢字の熟語のように組み合わせになった場合、単独で知らない漢字があるとわからなくなってしまうため…ということのようだ。
たしかに、基本的な部分で「もれ」があると、そのもれの部分から悪い影響が広がり、9割⇒8割⇒6割と落ちていく可能性はある。※なので、100点を目指した方がいいのだろうか?
基本的な内容のテストは…
基本的な内容のテストであれば、100点を狙えばいいと思う。
今述べたように、基本的な部分で理解に「もれ」があると、その上に積み重なる部分の理解ができなくなり、学力の低下につながってしまうためだ。授業がわからなくなると、勉強が楽しくなくなり勉強に対する関心を失う。そして、さらに学力が低下するという悪循環になりかねない。
小学校の場合は100点を
現在の小学校におけるテストは、基本的な内容のテストにあたる。
いつからそうなったのかは知らないが(昔から?)、どの科目も80~85点程度が平均点になるようだ(平均だけではなく、中央値や最頻値も知りたいところだが、データが見当たらない)。ということは、特別悪い成績を除けば、平均が90点程度になるのかもしれない。
それぐらいの難易度のテストであれば、当然100点を目指すべきだ。
難易度が高いテストでは…
難易度が高いテストでは、事情が変わってくる。
中学生以上ということになるだろうか。この場合、100点を狙うと、それに伴う弊害が出てくるのだ。たとえば、100点を取るために必要なコストが、それまでとは違いかなり高くなる(指数関数的に高くなる)。
100点を取るためには、難問や奇問でも解く必要がある。数学では手の込んだ解法を理解&暗記する必要があるし、そのほかの科目でも、関連はあるが、授業でほとんど言及されていないような話が突然出てくる、ということもある。これらに対応する準備をするには、コストがかなりかかるのだ。
※時間攻めにもあうので(笑)、100点を取るのは大変だ。
完璧主義におちいることが
100点を狙うと、完璧主義におちいる可能性がある。
難しいテストで100点を取ろうと思えば、ちょっとしたミスも許されず、時間配分の間違いも許されない。集中力の適切なコントロールも必要だ。なので、(ある意味)完璧主義にならざるを得ないところがある。
完璧主義は、心身に悪影響を及ぼしがちだ。
ミスが許されないとピリピリしがちになるし、理想と現実の差を思い知らされると、深く落ち込むことになる。また、細かいことが(試験に出るのでは…と)気になって細部にこだわり、無駄にリソースを消費する、ということもある。※完璧主義におちいると、あまりいいことがない。
能力証明タイプになるかも
100点をとることで、自分は価値がある人間だ…と思うようになることがある。
平均点や中央値が低いむずかしいテストでは、100点でなくてもトップをとることで、自分は価値がある人間だ…と思う。トップから落ちると、価値のない人間だ…と思ってしまう。
こうなると、満点をとることやトップをとることに躍起になる。自分の能力を証明することに躍起になり、それが証明されてはじめて安心&満足できるようになるのだ。こういうタイプの人は、ハマると強い。このタイプの人が、難しい試験でトップをとるケースもよくあることだ。
柔軟性がなく折れやすい
だが、このタイプの人は、結果が出ないと折れやすい。
柔軟な思考ができないので、立ち直りも苦手…という特徴がある。一度折れてしまうと、「自分は価値がない人間だ…」と思い、あらゆるパフォーマンスが低下することになりがちなのだ。
※このタイプの人にとっては、他者からどう評価されるかが問題になる。
100点を目指す - サマリー
まとめ
今回は、テストで100点をとることについて書いてみた。
小学校のテストにおいて、100点を狙うのはいいことだと思う。
それは、授業で習った基本的な内容が問われるテストであるためだ。そこに、難問や奇問はない。
だが、難易度が高いテストでは、事情が変わる。100点を取るためのコストがかなり高くなったり、完璧主義におちいったり、満点をとることが、自分の価値を証明することだ…という思考になったりするためだ。
なので、その場合はプロセスを重視し、「結果は後からついてくる」でいいのだろうと思う。
プロセスが正しければ、結果はそれなりに出るので、それが80点でも90点でもいいだろう。100点をとることに固執しすぎると、足をすくわれることになるのだろうと思う。
今回の記事:「テストで100点を目指すのか|それとも目指さないのか」