勉強しなさいは禁句にした方がいい
子供に「勉強しなさい」と言うことがないだろうか。
親からすれば、子供が勉強しないから、勉強するように促す…ということだ。
片付けなさい、お風呂に入りなさい、歯みがきをしなさい、などと同じことだ。だが、「勉強しなさい」と言うことは、いいことなのだろうか。できる子供の親は、そういう声かけをしない、ということも耳にする。今回はこの「勉強しなさい」について書いてみたい。
目次
勉強しなさいとは言わない
できる子供の親は、勉強しなさいとは言わない。
東大合格者の親は、子育てを通じて「勉強しなさい」とは言わなかった、という話を聞いたことがあるかもしれない。これは何も、東大合格者の親に限る話ではない。できる子供の親は、その言葉を口にしないのだ。
逆に、学業がふるわない子供の親は、毎日のように「勉強しなさい」と声かけをしている。
このことは一見、次のように見える。
できる子供は自分から勉強するので、親が「勉強しなさい」と言う必要がない。一方、できない子供は、自分から勉強しないので、親が「勉強しなさい」と言う必要がある。子供の勉強に対する姿勢の違いが、その言葉を使うか使わないか決める…と。
※この見方は正しいのだろうか?
勉強しなさいには効果がない
勉強しなさいと言っても、効果はない。
ある調査によると、中2ぐらいまでは、親が「勉強しなさい」と言う子供とそうでない子供の勉強時間を比較した場合、変わりはないそうだ。中3ぐらいでは、逆に、親が「勉強しなさい」と言わない子供の方が、勉強時間が長くなるそうだ。
別の調査では、中2の段階で、親から「勉強しなさい」と言われたら勉強する、という子供は半分程度。中3では、勉強するフリをして勉強しない子供が、65%に増える。
さらに、「勉強しなさい」は子供のやる気を下げる言葉になる。また別の調査では、その言葉によりやる気をなくしたという子供は多かったが、やる気が出たという子供は皆無であった。
※そう言ったところで、ほとんど効果はないのだ。
統制を受けていると感じる
勉強しなさいと言われた子供は、統制を受けていると感じる。
統制されると、それをはねのけたいと思う。今、勉強しようと思っていたけれど、「勉強しなさい」と言われたから、勉強しない…と子供が言うことがあるが、統制に反発しているのだ。
統制されたと感じると、今述べたように反発するか、受動型の指示待ち人間になるか、中途半端に受け入れ自分で価値を消化することなく、心に問題を抱えながら縛られるか…のいずれかになる。
子供の年齢によっても、反応は変わってくるのだろう。中2を境に、中3ぐらいでは、反発(面従腹背を含む)の方が多くなるようだ。※いずれにしても、子供のパフォーマンスは上がらない。
生活習慣を整える
では、「勉強しなさい」の代わりに、何をすればいいのだろうか。
まず、前回の記事で書いたように、子供の生活習慣を整えることが先決だ。生活習慣と学力の間には、因果関係らしきものがあるためだ。
具体的には、決まった時間に寝ているか、朝は自分で起きているか、朝食を食べているか、歯を磨いているか、「行ってきます」などのあいさつがキチンとできているか、夜に次の日の用意ができているか。読書習慣、運動習慣があるか、ということもある。
そのためには、親であるあなたの生活習慣も整えなければいけない。
規則正しい生活をしているか、キチンとあいさつをしているか、勉強しているか、読書習慣や運動習慣があるか、見直し&改善をしたい。※自分が変われば、子供も変わるだろう。
課題の分離をする
これはアドラー心理学からの知見だが、課題の分離をするという方法がある。
勉強することは、誰の課題なのか?と問うことから始める。「誰の課題なのか?」と問うときは、「その選択による結果を最終的に引き受けるのは誰か?」と考える。勉強する・しないの結果を最終的に引き受けるのは、子供自身だ。したがって、勉強することは子供の課題になる。
課題の分離をしたのち、他者の課題については踏み込まないようにする。
他者の課題に踏み込むことが、人間関係における災禍を引き起こすことになるためだ。勉強することで言えば、やる気を下げて勉強しなくなる、パフォーマンスを下げる、ということだ。
※課題の分離をして、勉強しなさいを禁句にする。
支援&援助する
ただし、課題の分離が放任になってはいけない。
子供には、勉強することが本人の課題であることを伝え、いつでも支援&援助する用意があると伝える。「勉強することが本人の課題であることを伝える」ということは大事なことだが、できていない親が多いと思う。
せいぜい、「あなたの将来のため」、「あなたがいい学校に入るため」ぐらいの説明しかできていないだろう。勉強することの意味をどう説明するのか、勉強することは自分の課題であると認識させるためには、どう説明すればいいのか…という点を突き詰めて考える必要がありそうだ。
※いつでも支援&援助する用意がある、ということも伝える必要がある。
その言葉を自分に向ける
勉強しなさいという言葉は、自分に向けた方がいい(笑)。
子供教育や心理学の勉強をすれば、「勉強しなさい」がマズいということは、わかるはずだ。
なので、「勉強しなさい」と言ってしまう人は、それが半ば口癖になっているか、勉強していないかのどちらかだろう。後者であれば、自分に対し「勉強しなさい」と言うしかない(笑)。
※そう言われて育った人ならば、自分の経験からもわかるはずだ。
子供教育や心理学の本を読んで勉強することは、勉強する習慣を家庭に持ち込む、親が勉強している姿を子供に見せる、という点でもいいことだ。
まとめ
今回は、「勉強しなさい」について書いてみた。
結論を言えば、このフレーズは禁句にした方がいいだろう。
その言葉を口にしても、良い効果はなく、悪い効果があるためだ。分別のある大人でも、頭ごなしに「~しなさい」と言われると、イラッとする(笑)。口にするかどうかは別にして、「なんだ、その言い方は…」となるはずだ。
今回の記事で述べた「勉強しなさい」の代替案は、「親子の生活習慣を整える」、「課題の分離をする⇒支援&援助する」、「親である自分が勉強する」、だ。まず、課題の分離をして、「勉強しなさい」と口にしないことから始めればいいのかもしれない。
今回の記事:「勉強しなさいは禁句にした方がいい」