国語力とは何か|その意味とは
国語力とは何か、国語力の意味とは何か…という疑問がないだろうか。
考えてみれば、国語力というのは漠然とした言葉だ。同様に算数力という言い方はあるかもしれないが、ほかの教科で~力ということはあまり聞かない。国語力、算数力といっても、きわめて抽象的な言葉で、この言葉を理解するためには、抽象から具体に次元を落とす必要がある。子供の国語力を上げようと思えば、具体レベルでよく国語力の意味を理解しておくことが大事になりそうだ。
今回は、国語力とは何か・国語力の意味について書いてみたい。
目次
これからの時代に求められる国語力
文部科学省の審議会による国語力の定義からみてみよう。
これからの時代に求められる国語力は、①考える力、感じる力、想像する力、表す力から成る、言語を中心とした情報を処理・操作する領域、
②考える力や、表す力などを支え、その基盤となる「国語の知識」や「教養・価値観・感性等」の領域、の二つの領域からなるそうだ。
もう少しわかりやすくすると、①情報を処理する能力、②情報を処理するために必要な知識など、となる。両者は相互に影響し合い発展する。
※以下、詳しく説明する。
情報を処理する能力とは
①は、考える力、感じる力、想像する力、表す力からなり、国語力の中核である。
この4つの力が具体的な言語活動として発現すると、「聞く」「話す」「読む」「書く」という行為になる。
考える力とは、論理的思考力のことだ。これは、情報に含まれる事実と推測を見極めたり、論理や構造を的確にとらえる能力を指す。
また、物事や自分のことを客観的に評価する能力、非言語情報を言語化する能力でもある。さらに、筋道の通った発言や文章を組み立てる能力のことでもある(論理構築力)。
※論理的思考力の高い人の話はわかりやすい…ということがあると思う。
感じる力、想像する力については説明を省く。考える力とこれら二つの力を合わせて、「理解する力」とまとめることもできるようだ。表す力とは、アウトプットする際に必要になる表現力のことだ。論理的思考力を用いて組み立てた自分の考えを具体的な発言や文章として、アウトプットする能力のことだ。TPOに適うアウトプットができるかどうかも、この能力に含まれる。
情報を処理するために必要な知識とは
この知識は、文字通り情報を処理する際に必要になる知識のことだ。
この知識は、国語の知識と教養や価値観などの部分に分けることができる。国語の知識とは、(具体的には)語彙、漢字や仮名遣い・句読点の打ち方、文法、文章の組み立て方、言葉遣いや文体・修辞法、慣用句やことわざなどに関する知識を指す。この知識については、学校教育が果たす役割が大きい。教養や価値観などについては、人としてのすべての活動の基盤になるものだ。
ここまでをまとめると…
話がややこしくなってきたので、簡単にまとめてみたい(笑)。
国語力とは ①情報を処理する能力、②情報を処理するために必要な知識など、である。
両者は相互に影響し合い発展する。ただし、②の上に①がある、という位置関係で、国語力の中核になるのは①である…ということだ。
※②も大事なので、車の両輪とする考え方もあるだろう。
国語力とは論理的思考力のこと
国語力とは論理的思考力のことである、とする考え方がある。
私たちは、論理的思考力を使って読み、論理的思考力を使って書き、論理的思考力を使って話すのです。根源にあるのは、唯一、論理的思考力だけなのです。そして、これこそが、国語力の正体です。
出典:国語力とは何か?
突き詰めれば、そういう考え方もありだろう。「論理的思考力」が太陽で、そのまわりを「聞く」「話す」「読む」「書く」という惑星が回っている、というモデルで説明されている。太陽(論理的思考力)が輝いていれば、各惑星(聞く、話す、読む、書く)も輝くということだ。
この考え方はシンプルでわかりやすい。国語ができないのは、論理的な思考ができないからだ、とシンプルに考えることができる。そして、国語の学力を上げるためには、論理的な思考力を向上させればいい、となる。※文部科学省の定義でいえば、①の考える力に相当する。
論理的に読み、書き、考える力
論理的に読み、書き、考える力である、とする考え方もある。
「国語力」という言葉を、ここでは「日本語のしくみを理解して、正しく論理的に読み、書き、考える力」ととらえます。
出典:東大・医学部合格に必要な「国語力」とは
上の「国語力とは論理的思考力のことである」とほぼ同じことだ。引用元におもしろい例がある。
Many people are buying cars. をどう訳すのか、という問題だ。
答えの候補は、1)多くの人々は車を買っている、2)多くの人は車を買っている、3)多くの人々が車を買っている、4)多くの人が車を買っている、5)車を買う人が多い、の5つだろう。
まず、「people」と「cars」の問題がある。英語では両方とも複数だが、このニュアンスをバランスよく日本語に反映させようと思えば、「人々・車」よりは、「人・車」とする方がいい。また、この場合は「人は」よりも「人が」の方が正しい。したがって、「多くの人が車を買っている」が正解になる。日本語を理解した上で意訳をすると、「車を買う人が多い」になる。
※あなたは、論理的に考えることができただろうか。
まとめ
今回は、国語力とは何か・国語力の意味について書いてみた。
いくつかの見方があるようだが、網羅的にみるか、本質部分をつかみに行くか…の違いだろう。
網羅的にみれば、国語力は「情報を処理する能力」と「情報を処理するために必要な知識」であるとできるし、本質をつかむのであれば、「論理的思考力のことである」とできる。子供の国語の学力を上げるのであれば、まずは、国語力を「論理的思考力のことである」と考えればいいだろう。
※核となる本質の部分に、リソースを入れた方がいい。
今回の記事:「国語力とは何か|その意味とは」