国語における論理的思考力とは
前回、「国語力とは何か」という記事を書いた。
そして、国語力の本質に注目するのであれば、「国語力とは論理的思考力のことである」とできるとした。なので、子供の国語力を上げたいのであれば、「論理的思考力を上げればいい」となる。
だが、「論理的思考力とは何か」という問題がある。このことがわかっていないと、国語力を高める具体的な方法もイメージできない。今回は、論理的思考力について書いてみたい。
目次
論理的思考力とは
論理的思考力は、「整理する力」とすればわかりやすい。
文部科学省の定義では、情報に含まれる事実と推測を見極めたり、論理や構造を的確にとらえる能力+物事や自分のことを客観的に評価する能力+非言語情報を言語化する能力+筋道の通った発言や文章を組み立てる能力、ということになるが、「整理する力」とすれば単純でわかりやすい。
つまり、対象がインプット(聞く・読む)にしろアウトプット(話す・書く)にしろ、理を持って整えることができるのであれば(整理することができるのであれば)、論理的思考力が高い…ということになる。
たしかに、論理的思考力の高い人は、相手の話を的確に要約することができるし、話しても書いてもわかりやすく伝えることができる。これは、「整理する力」が高いためだ。
整理するためには
では、整理するためには何が必要なのだろうか。
思うままに挙げると、「大⇒小という考え方」、「関係や法則を見抜くこと」、「帰納と演繹」、「MECE」、「ロジックツリー」、「5W1H」、「想像、類推・類比」などがある。
たとえば、部屋にあるモノを整理するとき、「大⇒小」と考えないだろうか。
用途別に収納したいとか、さらにサイズに応じて細かく分ける…ということもあるだろう。使用頻度に応じて収納することもあれば、使うときに便利な位置に収納することもある。
ダブリがあれば、古いモノを捨てるし、将来使うことがないと思っても捨てることになる。一見難しそうだが、要はこういうことだ(笑)。
※頭の中で考え方を整理しておけば、実際のモノの整理も上手く行く。
文章を整理する
誰かが書いた文章を整理する方法について考えてみる。
文章の構造というのは、起承転結、序破急、PREPなどいろいろある。
だがパーツは大体決まっていて、「事実」、「主張」、「理由」、「理由の説明(例示など)」、「反論」、「結論」などだ。なので、それらがどこにあたるのか…ということを見極める必要がある。
この見極めは、大体接続詞で行うことができる。「しかし」なら反論だし、「たとえば」なら理由の説明(例示)になる。
また、結論は最後にくるとか、理由の次に理由の説明がくる、主張は結論とリンクしている、理由は主張をサポートするものだ、抽象的な表現があれば、その後にそれを説明する具体的な表現がある、などのルールを知っていれば、より短時間で文章をうまく整理することができるだろう。
5W1Hで整理する
人の話や文章は、5W1Hを使って整理したい。
これは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)、と6つの点を明らかにすることで、話を整理する試みだ。
登場人物がたくさんいる海外のドラマをみていると、話がわからなくなることがある(笑)。これは、5W1Hで整理できていないためだ。海外のドラマの場合は、初見の役者が多いということもあり、名前と顔が一致せず、「この人がどういう目的で何をしたのか」をロストしてしまうのだ。
興味を持って取り組む
余談になるが、5W1Hを使って整理する際は、短期記憶を使う必要がある。短期記憶を有効に使うためには、シータ波という脳波を出せばいい。シータ波を出すためには、興味を持って取り組む必要があるので、文章を読む際は、「この文章はおもしろい」と思って読んだ方が頭に入る。
逆算で考える
逆算で考え、整理する…という方法がある。
何かを伝えたいときは、まず主張(結論)がある。そして、その主張を支える理由をどうするか、その理由を説明する具体例はないか、また、反論はないか、あればどのようなものか…と考える。つまり、逆算しているのである。主張(結論)から逆算すると、話を組み立てやすくなるのだ。
部屋を整理するときも、先に整理が終わった後のことをイメージして取り掛かると、そこに至る段取りを整理しやすくなる。また、将棋の強い人が詰将棋を作るときは、最後の形をイメージしてから作り始める。実践の対局でも、最終形をイメージしながら、そこまでの段取りを組み立てる。
※逆算思考で整理しやすくなる、ということだ。
関係や決まりを見抜く
関係や決まりを見抜けば、整理しやすくなる。
先に、「事実」、「主張」、「理由」、「理由の説明(例示など)」、「反論」、「結論」などにより1つの文章が構築される…ということを書いたが、「文章を構成するパーツは~と決まっている」というのが決まりだ。「しかし」の後に反論、「たとえば」の後に例示というのも決まりだ。
※お約束のようなものだ(笑)。
関係には、主語と述語の関係、原因と結果の関係、同等関係、対比関係などがある。具体例が理由をサポートする、理由が主張(結論)をサポートする、ということも関係になる。「同等関係」では、単純な語彙や表現の言い換えや、抽象・具体の言い換えを見抜くことができるかが勝負だ。
国語における論理的思考力とは - サマリー
まとめ
今回は、論理的思考力について書いてみた。
論理的思考力は、「整理する力」とすればわかりやすい。言い換えれば、「理を持って整える力」のことだ。この力があれば、相手の話や文章を的確に要約することができる。また、相手に伝えるときも、わかりやすく伝えることができる。この力は、子供だけではなく大人にも必要になる。
論理的思考力を高める方法については、1)文章を整理する、2)「5W1H」で整理する、3)逆算で考える、4)関係や決まりを見抜く、の4つ述べた。小さいことから大きなことまであるので、「大⇒小」と考えて、(順序としては)大きなことから理解するようにした方がいい。
今回の記事:「国語における論理的思考力とは」